鎮痙剤は麻酔ではなく、腸の緊張(収攣・収縮)をとるための薬です。
一般的にはブスコパンという薬が使われています。
注射されると口の中が乾いたり、目が少しショボショボするのがこの薬です。
ブスコパンは、(閉塞性偶角)緑内障、心疾患(不整脈)、前立腺肥大のある方には使えません。
そのようなときに使用するのがグルカゴンという薬です。
グルカゴンは糖尿病の方には使えません。
腸の緊張をとる作用はブスコパンよりは劣るのが現状です。
大腸内視鏡検査で使用される鎮痛剤でオピスタンというものがあります。この薬を注射してしばらく待つと若干腸管が弛緩します。
(麻薬による平滑筋弛緩作用です。)
個人的にはグルカゴンは効果があまり強くなく、「おまじない」的にしか感じませんので、オピスタンを使えていればブスコパン禁の人にグルカゴンは必ずしも使用しません。
もちろん、オピスタン不可の場合はグルカゴンは使います。
ミントオイルなどなども消化管の動きを抑えるためには有用と言われています。私は使用経験はありませんが、胃の蠕動運動を弱めるほどですから効果はあるものと思います。
参考文献を紹介させて頂きます。
Hiki N 2003 Gastrointest Endosc57 4 475-82
はじめてコメントします。
消化器内科医のほそDです。
大腸内視鏡検査ではないのですが、鎮痙剤についての日頃からの疑問です。
いわゆる胃透視の検査ですが、健診や人間ドックで施行される場合、ブスコパン不可の場合は、鎮痙剤は無しで検査されるケースが多いと思います。ブスコパンに比べ、グルカゴンは高価であることが、その理由だと思います。
鎮痙剤無しの胃透視の検査は、うまく撮影できることもありますが、撮影時に工夫しても、バリウムが早期に十二指腸へ排出されてしまい、不十分な検査になることも少なくないように思います。
多くの他の施設でもそうなのでしょうか?
私は、1/2Aでもよいので、グルカゴンを投与してするほうがいいのでは?と思ってますが。