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世界に誇れる技術のエッセンス


  今回,辻仲病院の誇る内視鏡の名手たちが,特に大腸内視鏡をいかに無痛で盲腸まで到達させるか,それぞれの鍛錬を重ねた技術を論文として解説することができたのは極めて意義深い.現在は既に辻仲病院から独立しクリニックを開業している医師もいるが,すべては辻仲病院で開発し,進化し,より安全で苦痛のない大腸内視鏡を挿入することを学んだ医師たちである.これらの医師は例えば世界選手権がもし開かれたとしたら,日本代表に選ばれる可能性のある医師たちであり,その技術は文字通り世界の最先端を行くものである.


そもそも大腸内視鏡は苦痛であるとの評判が古くからあり,
20年前には大腸内視鏡を盲腸に挿入できる医師も少ない時代であった.X線透視下に内視鏡の位置を確認しながら腹部圧迫により押し込む方法が堂々と主流を形成していた.やがて,米国で学んだ医師が帰国し,一人法として左側臥位で挿入する方法が広められていった.その方法は当院としては革新的であり,その後の挿入技術の発展に繋がっていった.
 

無痛,安全,信頼できる治療,診察能力,これらは日本の内視鏡医が世界に誇れるものである.辻仲病院で研鑚を積んだ医師たちがそのエッセンスを本としてまとめられたことの意義は極めて大きい.日本の消化器内視鏡のみならず,世界の医師にも伝えたい一冊である.
 

最後に今や大腸内視鏡はどの消化器医にも必須の検査である.これを行うにあたって本書が極めて役立つものであることを確信する.またこれらを書した著者たちに大いなる敬意を払うものであると同時に心から感謝を申し上げる.


辻仲病院柏の葉院長 
辻仲康伸