東大医学博士による胃腸科肛門科の最新医療ブログ「医師のための内視鏡専門講座」のご協力により提供しています。
                 ららぽーと横浜クリニック


大腸内視鏡の挿入では、これまで「左手の親指のアングル操作をできるだけ控えて、右手のひねりで内視鏡を進めて行く」のが大原則でした。

この「鉄則」は初級者~上級者まで共通です。

 

これの意味は、
「左手のアングル操作だけではファイバーの先端以外の部分をうまく使うことができないので主にS/Cの直線化がなされないので、右手のひねりによって山の形となったS/Cの屈曲部分をつぶすように挿入する」
ということでした。

 

doctor曰く、

ところが、最上級の挿入法である軸保持短縮法をマスターして、そのさらに上にある究極の次元の「軸保持直線的挿入」に到達するためには右手のひねりだけではなく、左手で大腸内視鏡のファイバー全体をまるでフラフープのように見立てて全体を操作することが大切です。

 

大腸内視鏡のファイバー全体をまるでフラフープのように見立てて全体を操作することによって痛みなく楽に挿入するのです。これができるようになると、S/Cの直線化がより簡単に行えるようになります。

 

フラフープを左右の手で持って動かすときは左手のみを動かすことで、フラフープの向きを自由に動かせますよね。それと同じこと(イメージ)を大腸内視鏡に応用するのです。

 

・・・すると、右手は極端な話、手のひらで押すように内視鏡に添えるだけで(ほとんどはプッシュしか使用しませんがプルも少し使うことにして)、左手の大きな動きだけで大腸内視鏡挿入が可能になります。

この場合、内視鏡が肛門に入っていく角度自体を自由自在にコントロールできることが、通常の「右手のひねりで内視鏡を進めて行く」に比較して有利な点です。

 

ここで、「右手で内視鏡が肛門に入っていく角度を調節すればいいのでは?」という意見は確かにあります。

 

しかし、実際には右手でそれをやった場合は、「左手のアングルの部分~右手で持っている内視鏡部分」と「右手で持っている部分~ファイバーの先端部」の2箇所で「わずかに不自然なねじれ」ができるので、ファイバー先端にかかる力の感覚をダイレクトに両手で感じるという点では「大腸内視鏡のファイバー全体をまるでフラフープのように見立てて全体を操作する」のと比較して劣るような気がします。

 

我思う、

若手ドクターのための大腸内視鏡検査法の中嶋先生も、無意識に体幹部を左へひねったり、右へもどしたりとスコープ全体を使っており、この感覚を『ロックシンガーのマイクスタンド』と表現しています。

 

私はこの動作をオーケストラの指揮者の両手に通じる感覚と考えています。左右の手はバラバラに動いているようで、実は一つのまとまった動作なのです。

 

また、このときのfiberの動きを「落とす」「落ちていく」と表現しています。左肩から肘、手首を使うことにより、右手は内視鏡をささえる程度の感覚で、scope headが腸管内をすすむことを、scope headの重さでscope headが落ちていくと感じます。

 

 

 

余談ですが・・・

今日は大学院の卒業式でした。

私も「東大医学博士」になりました。