東大医学博士による胃腸科肛門科の最新医療ブログの「医師のための内視鏡専門講座」のご協力により提供しています。
ららぽーと横浜クリニックへ
「世間一般に出回っている大腸内視鏡の本に書いてある通りになりません」
「大腸内視鏡の挿入の本では、ここで右、ここで左なんて書いていますが、人間の腸の大きさや襞の数は個々人で異なるのだから本当に本に書いてあるのと同じように挿入が展開するなんてあり得ないのではないですか?」
「挿入法の本を読むだけで、少しうまくなった実感を持ったことはありますか?」
doctor曰く、
「もちろん完全にマニュアル通りに(軸保持短縮が)キマらない症例がないというわけではない。それでも大腸内視鏡挿入のマニュアルにあるルーチンの8、9割は通じるという印象がある。」
「マニュアル通りにならないのは、マニュアルに書いてある趣旨を具体的なイメージとして理解し違えているか、挿入途中で既にマニュアルに書いてある挿入法から逸脱してしまっているからだ。」
「内臓逆位でもなければ、理論的にはルーメンの展開方向がマニュアルと異なるはずはない。一襞レベルで言えば、反対方向にルーメンがあることはよくあるが、それを手に感じる感覚をガイドにして理想の展開系へと整理整頓していく作業が大腸内視鏡挿入の真髄である。」
我思う、
細かいことを言えば千差万別ですが、だいたい8割程度には通じる法則があるような気がします。
私は、横浜、千葉、都内と有名施設には積極的に見学に行ってきました。
そこでベテランDrの挿入方法を見学させて頂くわけですが、「ここで右、次に左、そして右・・・」なんて方法ではみません。
内視鏡医の挿入理論を確認して、モニター画面をみて、右手をみて、左手をみてと、ばらばらにみるのではありません。
施行している内視鏡医(の頭の中)から患者さんを経てモニター画面まで、全てを一枚の「絵」のようにとらえます。
オーケストラで、個々の楽器を個別にみるのではなく、ステージ全体として鑑賞するのに通じるものがあると思います。
この場合、指揮者の情熱が内視鏡医の挿入理論に相当し、指揮者の両手を初めとした体の動きとオーケストラの音色の変化の連動(influence)が、内視鏡医の動作とモニター画面(scope head)なのだと思います。
ちまたのマニュアルを読むときも、読むだけでなく、(頭の中でステージを)描く作業が大切と感じます。
(完全内蔵逆位の方のTCFも2人担当したことありますが、Rsで仰臥位にして、あとは何ら苦労なしでした)