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このブログをみていただき、どうもありがとうございます。
今日の記事は、かなり長くなります。 覚悟してお読み下さい(笑)。

いつも楽しく拝読している、内藤忍さんのブログ :内藤忍の公式ブログ SHINOBY’S WORLDに「胃カメラが大切な検査なら、腸の内視鏡検査もやるべきでしょうか?」というエントリーがありました。
大腸内視鏡医であり、産業医である僕にとって、まさにストライクゾーンど真ん中的な内容でしたので、勝手に解答させていただきます(笑)。

ご質問内容は、多くの人も感じていることなのではないかと思います。

 時間のない人のために、【結論】を先にいいます。
・40歳を過ぎていれば、一度は大腸内視鏡検査を受けるべきです。
・胃の検査は、バリウムは無意味です。受けるならば胃カメラです。私は、バリウムを飲んでいる医者を知りません。



大腸に関して2つ、お話をさせて下さい。
 
1.便潜血反応は正確か?
 便潜血反応(便に血がついているか調べるスクリーニング検査)は、安価で簡便に多くの人にできる検査です。しかし、その分、正確さに欠けます。
 進行した大腸癌があっても、「陽性」とでるのは、約6割といわれています。反対に、「陽性」であっても、内視鏡検査をしてみると、「異常なし」としてでる人もたくさんいます。
 そこで、2回法といって、2日間にわたって便を調べる方法が一般的となっています。大腸癌があっても「陰性」となって引っかからないのが約40%ですので、これが2回続く確率は約16% (0.4x0.4=0.16)。つまり、2回やれば、約8割で大腸癌を当てられるというわけです。
 便潜血反応検査で、2回中1回でも「陽性」となると、大腸内視鏡検査が、次の検査となります。しかし、やってみると、癌は無いことの方が圧倒的に多く、この場合の大腸内視鏡検査は、「安心の確認のための検査」と、私は普段患者さんにお伝えしております。

2.大腸癌は予防可能!?
 大腸癌を心配して、便潜血反応や大腸内視鏡検査を受けられる人が多いですので、大腸癌の発生について、少しだけ説明させていただきます。
 大腸癌のほとんどは、大腸ポリープからできます。大腸ポリープの中でも、顕微鏡で見たときに、「線腫adenoma」という種類のものが最も頻度が高いのですが、この大腸の線腫は、おおきくなると、大腸癌になる頻度が上がります。
 だいたいの数値で言うと、2cmを超える線種の約35%に癌細胞が含まれます。また、3cmを超えると、約50%といわれています。しかし、この段階では、内視鏡で切除可能なものも多くありますので、いわゆる開腹手術や腹腔協手術になるとは限りません。また、この段階では、粘膜内癌といって、非常に早期な癌です。 昔のアメリカンファミリーなどのがん保険では、癌として認められていなかったレベルもモノです。ですので、これが、その人の寿命を左右することはないので、ご安心下さい。ただし、内視鏡で切除した標本(ポリープ)を調べて、粘膜内癌でなかった場合は、手術的な方法を考えないといけなくなります。

大腸内視鏡検査の意義
 上記をまとめて、乱暴に言ってしまえば、大腸に関しては、ポリープの段階で切除してしまっていれば、大腸癌はある程度予防可能ということです。ですので、定期的な内視鏡検査が有効です。
 便潜血反応が陽性でなくても、40歳をすぎたら一度、大腸内視鏡検査をするのは、このように、癌の予防の観点から大切かと思います。
 くどいですが、大切なことは、まずは、内視鏡検査を受けることです。後悔しないために。



胃に関しても2つ、お話をさせて下さい。
 
1.胃癌の予防は内視鏡ではできない!
 胃癌は、いきなりできるものが多いです。(大腸癌との大きな違いです!)
 多くの胃のポリープは、線腫ではなく、もっと良性のもので、顕微鏡的(病理学的)には、過形成ポリープといいます。これは、癌になることは、ほとんどありません。ないと考えて大丈夫です。
 多くの胃癌は、癌としていきなりできるというイメージものが多いです。ですので、定期的な胃カメラは、胃癌の予防という意味よりは、胃癌の早期発見という意味合いが強くなります。胃癌も早期に発見すれば、最近は多くのものが、内視鏡的に切除可能です。
 胃癌の予防のためには、ピロリ菌の有無を調べ、いるならば、除菌(菌を退治すること)することが、現在の医学で推奨されています。ピロリ菌の有無は、採血、尿、便、カメラで生検などなど、いろいろな方法で調べられますので、一度、ご考慮下さい。

2.胃バリウム検査、受けている医者を知りません
 胃のバリウム検査(胃透視)と内視鏡検査について。
 胃カメラが普及する前は、バリウムが主流でした。というよりも、バリウムしか選択肢がありませんでした。私は、内視鏡に関わる医師として、以下3点をお伝えさせていただきます。 
 まずひとつ目に、バリウムが多くの健診、ドックで利用されている点として、コストパーフォーマンスがあげられます。内視鏡検査は、医師でないとできません。また、医師以外に介助者なども必要です。また、毎回しっかり内視鏡を洗浄消毒する必要があります。一方、バリウム検査は、レントゲン検査技師1人で可能です。検査後は、患者さんが排便するだけです。この2点より、経済的に、医療機関では、バリウム検査がまだまだあります。
 ふたつ目に、検査の不快度は、内視鏡では医者の技術によります。バリウム検査では医療サイドに寄りません。内視鏡検査が不快で辛いと、その不満は、内視鏡医や医療機関に向きがちです。バリウムでは、最終的にバリウムを飲むのは、検査を受ける人ですので、検査の不快・不満は、医療サイドには向かない印象があります。
 最後三つ目ですが、私は身の回りで、バリウムを飲んでいる医師を知りません。みんな、カメラを飲んでいます。これが全てを物語っていると思います。

 口からの胃カメラで辛い方は、最近は、鼻からの胃カメラ(経鼻内視鏡)があります。次回、ご検討してみてはいかがでしょうか。
 (いい医者の探し方などご質問あれば、お返事下さい)


 胃も大腸も、定期的な内