最も簡単にできる大腸がんの予防策は、繊維とビタミンDの豊富な食事をすることです。

英医学会会報(BMJ)に掲載されたある研究は、がんの発症の抑制過程にビタミンDが係わっていることを報告しています。

アメリカの予防医学の専門誌(American Journal of PreventiveM e d i c i n e )で発表された別のメタ分析では、1日に2 , 0 0 0 I UのビタミンDで大腸がんのリスクを3分の2も低減できるとしています。

2,000IUというと、ずいぶん大量に聞こえるかもしれませんが、サプリメントを利用し、日焼けどめなしで1日に10分~20分程度日光を浴びれば確保できます。現在国が推奨しているビタミンの摂取量はもっと少量ですが、ビタミンD摂取の重要性が次々に明らかにされていることを反映して、近い将来変更されるものと考えられます。

一方、世界保健機構のプロジェクトを担当した国際がん研究機関は、繊維質の豊富な食事が大腸がんのリスク低減に有効との見方を示しています。ある研究では、1日平均35gの食物繊維を摂取した場合、最大で40%も結腸直腸がんの発生率が低いことが報告されました。加工されていない野菜や果物と適量の全粒穀物を取り入れた食事は、栄養面からも望ましいものです。

ヨーロッパにおけるがんと栄養に関する研究プロジェクト(EPIC)でも、繊維が豊富で、野菜、果物、魚を中心とする食事が大腸ポリープや結腸直腸がんの発生率を抑えるという見解に至っています。同研究では、赤身の肉が多く、野菜や果物の少ない食事が結腸直腸がんの発生率を上げることも指摘しています。


検診は大切!

結腸直腸がんの発見は大半が60代で、発生率は高齢になるほど高まる傾向があります。
50歳未満で結腸直腸がんになるケースは、遺伝的な要因がある場合を除くと、ごくまれです。
年齢と共に検診の重要性も増すと言ってよいでしょう。

大腸がんの危険要因としては、他にも喫煙と過度の飲酒が挙げられます。ある調査では、喫煙する女性が直腸結腸がんで死亡する確率は、非喫煙者の女性より最大40%高いと報告されています。また、男性で同様の比較をした場合も、30%の開きがあったということです。
検診が大切であることは言うまでもありませんが、部位が部位であるだけに、恥ずかしさや不快感から敬遠する人が多いのは、残念なことです。きちんとした検査でも1時間もかかりませんし、鎮痛剤を使うので、さほどの痛みも不快感もありません。ぜひ恐がらずに検査に行って下さい。

検査には通常、大腸内視鏡を使用します。これは、ポリープやがんを見つけるには、特に有効な方法です。何も問題のないことが分かったときの安心感は、一時の我慢をはるかに上回ります。どうしても内視鏡が嫌な場合は、バリウム浣腸の造影、血液検査、検便、S状結腸鏡などを組み合わせた検査も可能です。大腸内視鏡の利点は、より明確に内部の状態が見えることだけではありません。ポリープが発見された場合は、その場で処置ができるので、切除のために改めて診察日を予約せずに済みます。

腸がん患者に対する情報提供や支援、アドバイスを行っているイギリスの慈善団体(Bowel Cancer UK)も、健康的な食生活と健康診断を勧めています。また、たっぷりと水分を摂り、日常的な運動をし、家族の病歴を把握しておくことも大切であるとしています。

大腸がんが現在最も症例の多いがんの一種あることは確かですが、この現状は決して変えられないものではありません。がん関連の専門家による研究プロジェクトも慈善団体も、ちょっとした生活習慣の改善でリスクの低減が可能なことを主張しています。赤身の肉を少なめにして魚を食べ、繊維たっぷりの野菜と果物の摂取量を増やしましょう。そして、ビタミンDを積極的に摂り、定期健診を受けましょう。そうすれば、大腸がんを恐れる必要はなくなります。