今回は、大腸のポリープ切除の実際の方法ということで、前回よりも少しマニアックな話になります。
ポリープ切除というのはいずれも手術なんですけれども、大きく分けて4パターンあります。
一番簡単なのが、ホットバイオプシーと呼ばれる方法です。これは小さいポリープに適用する方法で、ポリープを鉗子でつまんでちょっと引っ張って、ジュッと焼いてしまい、一部細胞を取って顕微鏡検査に出します。残っている方は電気で焼いているので画面で見ると白くなっていて、焼け焦げた部分が落ちてしまいますから、残っているポリープ成分も死んでしまうわけです。ホットバイオプシーは大きなポリープにはできませんが、いちばん簡単な方法です。
次はスネアポリペクトミーという方法です。イメージとしては、マッシュルームのようなキノコ型のポリープにスネアと呼ばれる輪っかをかけて、その輪っかを閉じていきます。そして最後にジュッと焼くと、キノコの茎の部分からぽろりと落ちるというやり方です。
ぽろりと落ちた後の切り口のところは焼けて白くなっていますが、場合によってはクリップでパチッと傷口を縫い合わせて出血しないような処置をすることもあります。
この2つ、ホットとスネアの傷というのはたいてい3、4週間でしっかり治りますが、手術後の1、2週間は出血のリスクがあります。やけどですから、しかもやけどの傷口に翌日からウンチがこすれるわけですからよくはないわけですが、人間の自然治癒力で治ります。
ただその時に酒を飲んだり、運動をがんがんやったりすると、やけどが治らず傷がちょっと深くなって出血したり穿孔したりというリスクがありますので、そこら辺は注意が必要です。
話がそれましたが、次はEMR、内視鏡的粘膜切除術という方法です。これはちょっと大きめの平たいポリープがあった場合に、まず最初にポリープの下に水とかグリセオールなどを注入して浮かばせます。そうするとポリープが隆起してきますので、そこにさっきのスネアの輪っかをかけてジュッと縛って焼き切るというやり方です。
平たいのが浮かんでくるので、まず取りやすくなりますよね。それからポリープが大きいと取った後のやけどの面積が大きくなるので穴が開いたり出血のリスクが高くなるのですが、ポリープとその下の部分の間に水を満たしておけば正常なところがあまりやけどしないで済み、だからより安全にできる、それがEMR、内視鏡的粘膜切除術です。
私は、ポリープの大きさにもよりますが外来でもEMRをやりますけれども、たいていは入院でやるところが多いかなと思います。
次はESD、内視鏡的粘膜下層剥離術という方法です。EMRまではだいたい同じような方法ですが、もっと横に広がっている大きいポリープは一気に輪っかがかけられません。そうなると別の器具を使って端からジュジュジュと焼いていって剥がすような取り方をします。
これはかなり熟練した技術が必要になります。数年前の保険点数の改正の時に、ESDだけはかなり高額になりました。このESDを高額の保険診療で請求できる施設というのは、ちゃんとその手術を熟練してやっている年間件数何件以上というところが多いので、ESDになったら大学病院クラスとまでは言いませんが、100床以上の大きい病院でやるのがいいと思います。
今日は少しマニアックな話でしたが、ポリープ切除にも幾つか方法があるという内容でした。ご紹介した4つのポリープの取り方はいずれも手術ですから、診断書を書いてもらってあなたが入っている保険の会社に申請すれば、保険の種類によってはある程度の金額が戻ってくると思いますので、そこまで意識しておくとよいでしょう。
今日の話があなたのお役に立てば光栄です。