東大医学博士による胃腸科肛門科の最新医療ブログの「医師のための内視鏡専門講座」のご協力により提供しています。
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大腸内視鏡挿入の「軸保持短縮法」の歴史や本質について
・・・・かつて「軸保持」でない挿入法がもてはやされた時期もありました。
大腸内視鏡挿入法の進歩の歴史を紐解くと、過去には「逆『の』の字型挿入法」という前近代的な手法がありました。
RsまたはS/C topで単純に左プッシュすることでS/Cを伸ばしながら(=大きなαループを作りながら)SDJへ至る方法のことです。
その後、SDJかSFで直線化するのですが、S/Cが複雑な症例ではS/Cの伸展のために、患者さんは一時的に強い痛みを感じることになります(挿入時間は早いと思います)。
そこで、90年代後半からはS/Cを丁寧に右展開でたたみながらSDJまで進む「軸保持」が大腸内視鏡挿入法の黄金律となりました。
Doctor曰く、
現在では、日本のトップエンドのドクターは全員「軸保持短縮法」です。
この「軸保持」とは、右手の左右のひねりで常にscope headが素直に(意のままに)左右に振れる状態のことを指します。
「内視鏡のファイバー自体がひとつの平面上にある」状態です。
(S/Cがループした状態は、決して「ファイバー自体がひとつの平面上」ではありません。)
我思う、
同意!です。
SDJかSFでのびた腸を直線化するのですが、Tを越えようとするとまたSがのびる。
そこで使われていたのが「スライディングチューブ」でした。今となっては過去の遺物です。
私自身は上記の理論は全く知らずに大腸内視鏡の初期を過ごしておりました。(最初は透視室でのCFでした、いい勉強でした。)上手くなるにつれ、ループ作らず、腸を伸ばさず、scope headが思いのままになっていきました。
意識していたのは、「平面を形成する」、につきます。
このことに意識を集中すると、自ずからストレートな挿入となります。